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薬物検査Drug Test

薬物検査とは(警察・司法除く)

1. 一般的な薬物検査の対象

  • ・ 特定の集団(一般的には学生,アスリート,囚人など)、特定の職種(例,パイロット,トラック運転手)に応募または従事している人々。
  • ・ 自動車や重機、船、鉄道、航空機の事故を起こした操縦者、関係者。
  • ・ 裁判所の命令により治療プログラムに参加している人々,および保護観察または仮釈放中で断薬が必要な人。
  • ・ 政府職員(地方政府・軍人含む)及び政府と契約している企業と社員、政府の補助金を受けている企業と社員(米国例)。
  • ・ 特定の免許申請、特定の職種への就業、外資系企業への就職、VISA申請等に必要な「薬物中毒でないことを証明する医師の診断書」のための検査。

2. 検査の仕組み

検査は 一次(Screening Test)検査と二次(確認検査:Confirmatory inspection)検査の 二段階で構成されます。

● 一次検査 : スクリーニング検査

特定の集団・職種などから薬物乱用者を選り分け(篩にかける)する簡易迅速検査で、DAST (Drug of Abuse Screening Test)と呼ばれます。

  • ★ 一次検査では「陽性」反応が出ても薬物の使用を断定するものではありません。「陽性の疑いがある」という判断にとどめます。
  • ★ 一次検査で「陽性」の反応を示した「検体」を手を加えずに専門の検査機関に送り高度な分析装置を使った「確認検査」を行い「陽性」または「陰性」を確定します。

DASTは、イムノクロマトアッセイ法による簡易検査で、検体中の検査物質の有無を判定します。(Cut 0ff値以上は「陽性」、未満は「陰性」とする「定性検査法」)

参考イメージ図
検査結果の読み取り
  • 1. 検査5分後、Cラインが出ると検査は有効です。
  • 2. Tラインが消えていると「陽性」の反応です。
  • 3. Tラインが出ていると「陰性」の反応です。Tラインは薄くても、発色が認められる限り「陰性」です。
  • ※ 陽性でTラインが発現するタイプもあります

● 二次(本) 検査:「確認検査」とも呼びます

一時検査で「陽性」となった検体をGC-MS/MS : Gas Chromatographyガスクロマトグラフ質量分析計、HPLC:High Performance Liquid Chromatography 高速液体クロマトグラフィー等の装置により「検体中の検査物質の量」を測定します。「定量検査法」

GC-MS/MS(ガスクロマトグラフ質量分析計)装置 例

3. 各検査項目における標的分析物のCut off「閾値(しきい値)」

乱用薬物検査キットにより検出可能な薬物等マトリクス表」を参照

4. DASTの正確度(Accuracy)

スクリーニング検査と確認検査(GC/MS)との一致割合(STAT-DIP/CASSETTE 例)

Drug 陽性の場合
一致する割合
陰性の場合
一致する割合
全体の場合
一致する割合
AMP 92.50% 97.50% 95.00%
mAMP 96.70% 100.00% 98.40%
BAR 97.50% 100.00% 98.80%
BZO 95.80% 100.00% 97.90%
BUP 97.50% 98.30% 97.90%
COC 90.80% 98.30% 94.60%
MDMA 98.30% 98.30% 98.30%
MTD 97.50% 98.30% 97.90%
OPI300 97.50% 99.20% 98.40%
OXY 96.70% 97.50% 97.10%
PCP 96.70% 98.30% 97.50%
THC 100.00% 96.70% 98.40%
TCA 98.30% 97.50% 97.90%
  • TCAはHPLC
  • * GC/MS:Gas Chromatography / Mass Spectrometry(ガスクロマトグラフィー質量分析法)/HPLC:High Performance Liquid Chromatography 高速液体クロマトグラフィー

5. 体内残留薬物の検出可能時間 (年齢・男女・体格・薬物使用頻度等により変動します)

No 略号
Abbreviation
薬物名
Drug Name
検出期間
Detection Time
最短 最長
1 AMP アンフェタミン 4-6 hours 2-3 days
Amphetamine
2 m-AMP/MET メタンフェタミン 4-6 hours 2-3 days
Methamphetamine
3 BAR バルビツレート 2-4 hours 1-3 weeks
Barbiturates
4 BUP ブプレノルフィン 2-6 hours 2-4 day
Buprenorphine
5 BZO ベンゾジアゼピン 2-7 hours 1-4 days
Benzodiazepines
6 COC コカイン 2-6 hours 2-3 days
Cocaine
7 MDMA エクスタシー 2-7 days 2-4 days
Ecstasy
8 MTD/EDDP メサドン 3-8 hours 1-3 days
Methadone
9 OPI (MOP,MOR) オピエート 2-6 hours 1-3 days
Opiate
10 OXY オキシコドン 1-3 hours 1-2 days
Oxycodone
11 PCP フェンサイクリジン 4-6 hours 7-14 days
Phencyclidine
12 TCA トリサイクリック・アンチディブレサント 8-12 hours 2-7 days
Tricyclic・Antidepressants
13 THC テトラヒドロカンナビノール 1-3 hours 1-7 days
Marijuana
14 LSD リゼルグ/リゼルギン酸・ジエチルアミド 1-2 hours 2-4 days
lysergic acid・diethylamide
15 ZOL ゾルピデム N/A 1-7 days
Zolpidem
16 K2/Spice 「スパイス」 N/A 3-4 days
Synthetic・Marijuana
17 FEN フェンタニル N/A 2-3 days
Fentanil
18 TML トラマドール N/A 2-3 days
Tramadol
19 PPX プロポキシフェン 6-12 hours 7-14 days
propoxyphene
  • *検出時間について
  • ● 最短時間 = 薬物が尿などにより体外に排出されるまでの時間:検出可能
  • ● 最長時間 = 薬物が体内で分解され尿などに排出されなくなるまでの時間:検出不可
  • 乱用薬物検査キットが活用される分野

    ● Medical certificate
    VISA申請、外国企業への就職、特定の職業等に必要な「麻薬や薬物を乱用していないことを証明する診断書」のための検査
    ● D.A.S.T. Drug of Abuse Screening Test
    職域等において、雇用者が行う“乱用薬物の使用者の有無を調べる”スクリーニング検査
    ● Zero-tolerance policy
    米国の高校・大学その他の学校、寄宿舎等において、薬物乱用者の入学・在学を拒否する「不寛容」の宣言。このポリシーに基づくルールで薬物スクリーニング検査及び処断が行われる。
    ● Secondary Survey
    救急救命医療センターなどにおける意識不明患者の体内薬物スクリーニング検査
    ● Criminal investigation
    警察及び厚生労働省麻薬取締部の薬物事犯の取り締まりにおける検査
    ● Legal drug test
    法務省:仮釈放者及び保護観察者等の薬物検査
    ● Driver drug test
    交通警察隊による検問・不審な車の挙動・違反行為・交通事故を起こした運転手に対する薬物検査
    ● DOT drug test(DOT米国運輸省規則に基づく検査)
    航空機、船舶、鉄道、大型トラック・バス・ タクシー等の事業者に義務付けられた薬物検査(日本では法規制未整備)
    ● Drug Abstinence management
    「断薬マネジメント」の検査

    乱用薬物検査が活用される分野

    • 乱用薬物を使用していないことの証明書

      Drug Free Certificate
      違法薬物を摂取していない証明(診断書)

      • 外資系企業入社・留学・赴任・移住等のVISA申請
      • 「麻薬・阿片・大麻・及び覚醒剤の中毒者ではない」医師の診断書が必要な免許、職業、職種等

      医師・歯科医師・保健師・助産師・看護師・准看護師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・薬剤師・歯科技工士・歯科衛生士・臨床工学技士・獣医師・家畜人工授精師・銃砲刀剣類所持者・射撃場の設置者や管理者・狩猟者・駐車監視員・警備員・救急救命士・調理師・製菓衛生師・ふぐ調理師・美容師・理容師・義肢装具士・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 など

    • 救急救命・医療センター(参考:米国の例)

      Secondary Survey

      • 外傷が無く、搬送に至る状況が不明
      • 意識不明で救急搬送された患者

      麻薬類の摂取や睡眠薬、鎮静剤等の医薬品オーバードーズの可能性があります。
      一時救命措置 Basic life support と並行して、体内に取り込まれた薬物類を迅速に検査。治療方針決定をサポートする基礎データを取得します。

    • Zero-tolerance policy

      高校・大学・寄宿舎・軍隊などの団体生活の規律を維持する

      • 入学前、入寮前、夏・冬休み明け、復学前の検査
      • 不定期・臨時の日常的な集団検査
      • 薬物使用の合理的疑いがある場合は個別検査
      • 暴力行為等の問題行動がある生徒の指名検査
      • 薬物事案が発生した場合の一斉検査
      臨時検査(唾液):STAT-SWABSALIVA-12
      定期・不定期検査(尿):M-STAT・MMT-U(1104)
    • 定期健康診断・雇入れ時健康診断時の薬物検査(参考:米国の例)

      違法薬物以外に依存症リスクの高い処方薬も検査します

      • ・ 違法薬物6種(DOT規制)のほか処方薬依存症の検査
      • ・ 依存症リスクの高い向精神薬等の検査
      • ・ 抗うつ剤・抗不安薬・睡眠薬・鎮静剤等
    • 運輸事業者向け検査(DOT米国運輸省規則準拠)(参考:米国の例)

      飛行機・船舶・鉄道・トラック・バス・タクシー等操縦者の検査

      • 定期検査と臨時検査を組合わせて実施
      • 年1~2回程度の尿による定期検査
      • 乗務前・乗務後の臨時検査には唾液検査
      • ・ 入社、配属前検査
      • ・ 日常的に行う不定期検査(唾液)
      • ・ 定期健康診断と同時に行う医師による薬物検査
      • ・ 事故や重大な違反、事故被害に遭った場合の個別検査
      • ・ 薬物使用の合理的疑いがある場合の臨時検査
      • ・ 薬物6種(DOT規制)のほか向精神薬等の処方薬依存症の検査
      臨時検査(唾液): SALIVASTAT-SWAB
      定期・不定期検査(尿): M-STAT・MMT-U(1104)
    • プロスポーツ・興行・公営ギャンブル等(参考:米国の例)

      選手やスタッフの保護・マネジメント

      • 定期検査と臨時検査を組合わせて実施
      • 年1~2回程度 尿による定期検査
      • 臨時・不定期の自主検査は唾液検査
      • ・ 日常的に行う自主不定期検査(唾液)
      • ・ 定期健康診断と同時に行う医師による薬物検査
      • ・ 事故や重大な違反、事故被害に遭った場合の個別検査
      • ・ 薬物使用の合理的疑いがある場合の臨時検査
      • ・ 違法薬物のほか向精神薬等の処方薬依存症の検査
      • ・ 競走馬用の検査キットもご用意しております
      臨時検査(唾液):STAT-SWABSALIVA-12
      定期・不定期検査(尿):M-STAT・MMT-U(1104)
    • 職域における薬物検査(参考:米国の例)

      違法薬物以外に依存症リスクの高い処方薬など幅広く検査します

      • 定期検査と臨時検査を組合わせて実施
      • 年1~2回程度の尿による定期検査
      • 臨時・不定期の自主検査は唾液検査
      • ・ 日常的に行う自主不定期検査(唾液)
      • ・ 定期健康診断と同時に行う医師による薬物検査
      • ・ 薬物使用の合理的疑いがある場合の臨時検査
      • ・ 薬物6種(DOT規制)のほか向精神薬等の処方薬依存症の検査
      臨時検査(唾液):STAT-SWABSALIVA-12
      定期・不定期検査(尿):M-STATP-STAT
    • 芸能界・飲食店・娯楽施設・バー・キャバレーほか

      唾液による簡易検査は、低コストで場所を選びません

      日本で最も違反が多い違法薬物3種類に絞った検査キットがお薦めです

      • ・ Gender free
      • ・ トイレ不要
      • ・ 店内や事務所で簡単検査
      • ・ その場で結果が分かる
      • ・ 最も若者が手を出しやすいとされる3種の薬物を検出
      大麻
      マリファナ・ハシッシ
      覚せい剤
      アンフェタミン[Smart drugs][Greeny]……多動性症候群ADHD症の治療薬
      覚せい剤
      メタンフェタミン「Ice」「Speed」「シャブ」……東南アジアで大流行している錠剤型覚せい剤「Yaba(ヤーバー)」
      臨時検査(唾液 ):MS-SALIVA-III