8. 検査の種類と実施時期(タイミング)
(1)薬物検査の基本:実施タイミング
薬物検査のことを米国の運送業界では英語のスラングで「Random(ランダム)」と呼びます
☆薬物検査は、検出可能時間を調整されないよう不定期・抜き打ちで行うのが基本です。
ただし、警察の捜査のための検査ではありませんので、無理して「陽性」を探す必要はありません。
在籍している限り、繰り返しランダムな検査が要求されますので、いずれ違法薬物の乱用は検出されます。
(2)実施時期と方法
米国保健福祉省 薬物乱用・精神衛生管理庁 SAMHSA推奨(参考例)
1. 就職時(採用前)テスト
- ・安全が重要な部門に採用または異動される前に発生します。
- ・雇用主は、雇用前の薬物検査に加えて、始業前のアルコール検査を要求する場合があります。アルコール検査は、安全に関わる業務を行う前に実施する必要があります。
2. ランダムテスト
- ・科学的に有効な方法を使用して、暦年を通じて合理的に分散して、継続的に予告なしに、対象となる従業員全員が検査対象として選ばれ、平等になるようにします。
- ・無作為のアルコール検査も同様です。
3. 事故後の検査
- ・事故が発生した後に臨時の検査を実施します。
4. 正当な理由
- ・事故後の臨時検査の要件を満たさない事故/インシデントの後に検査を実施する可能性があります。
5. 合理的な理由/疑いに基づく検査
- ・会社の役員または監督者が、従業員が薬物使用やアルコール乱用の兆候を示していると判断した場合、検査を要求します。
6. 職務復帰とフォローアップ検査
- ・従業員の薬物検査やアルコール検査で陽性反応が確認された場合、または検査を拒否した場合に発生します。
- ・従業員は、安全に関わる業務に復帰する前に、復職検査を受ける必要があります。
- ・従業員は最初の12ヶ月間に少なくとも6回の予告なしのフォローアップ検査を受けることになります。
- ・医師(薬物乱用専門家)の指導に応じて、フォローアップ検査は最大60ヶ月間実施される可能性があります。
- ・フォローアップ テスト は、勤務中断期間中も継続します。
- ・運転や操縦等に従事する従業員は、12ヶ月間に少なくとも6回の予告なしの薬物検査を受けます。
7. 定期検査
- ・DOTテストに加えて、全社員を対象とする会社独自の健康診断と同時に行う職域薬物検査を実施する場合もあります。
(3)検査方法と留意点
- 1. 初めて職域薬物検査を導入する場合、(2)-7 定期的な検査:健康診断の際に行うことを推奨します。
※事前に「検査同意書」「問診票」「お薬手帳」等の事務手続き、および「医師による事前相談(匿名)制度」等の事前周知活動・期間が必要です。
- 2. 薬物検査に毎回医師が必要という訳ではありません。 アルバイトの採用時に面接官が「唾液検査」を実施することがあります。
- 3. 休日・夜間等に現場などで薬物検査を行う場合、会社から認定された管理職が検査を実施する場合があります。
- 4. 「職域における薬物検査」は、実施時期、被検者名等は秘密にしなければなりません(定期的な検査を除く)。
- ★「職域薬物検査」 一次(スクリーニング)検査は、薬物により検出可能時間(1~14日 薬物の種類、被検者の年齢・性別・体格等により差異)に制約があるため、検査の予定日時は秘密にする必要があります。
(4)被検査者名簿とローテーション表の作成
- 1. 職域薬物検査の受検者名簿は、部署内で均等に実施されるよう順番や回数を公平に振り分け、不平やトラブルを予防します。
- 2. 全社員に均等に職域薬物検査の受検者名簿は、部署内で均等に実施されるよう順番や回数を公平に振り分け、不平やトラブルを予防します。
(5)職種別の検査内容・頻度
- 1. 危険や重大な責任を伴う職種や操縦や運転をする職種と事務員・店員等を同じ条件で検査する必然性はありません。
- 2. 全員平等に検査を実施するのが理想ですが、年に1回程度の全社的健康診断時の検査を除き、コストを考慮し、リスクに応じた検査頻度、検査項目を設定する必要があります。