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9. 職域薬物検査の仕組み

(1) 二段階方式検査

職域薬物検査は、一次検査と、一次検査の「陽性」者を対象にした 二次検査 の二段階方式となります。

〇 一次(スクリーニング)検査(Screening Test)は【a. 自社で実施】【b. 自社で検体採取(採尿)検査は外注】の2種類

職域における薬物検査は、尿または唾液を検体とする、一次(スクリーニング)検査はラテラルフローイムノアッセイ(Lateral flow immunoassay)、別名「イムノクロマト法」とも呼ばれる簡易で迅速な検査手法です。
「尿」または「唾液・口腔液」を検体とします。
スクリーニング(Screening)とは篩い分けをすることです。
大勢の検査対象者を短時間で大量に処理するために開発された検査方法で、「定性検査法」とも呼ばれます。
規定のCut-off(閾値)を超えると「陽性」、数値が下回ると「陰性」、どちらかの反応が出ます。
スクリーニング検査の精度Accuracyは、95~98.5%(STAT-CASSETTE/DIP 例)で、100%ではありません。

〇 二次(確認)検査 Confirmatory Test 外部の検査会社に委託

スクリーニング検査の結果「陽性」反応が出た場合、「陽性が疑われる結果」として別の尿検査キットで再検査しをします。
再検査で「陽性」が出た場合、その検体を使って専門の分析機関に「確認検査」を依頼します。
分析機関は、GC「ガスクロマトグラフィー」やHPLC「高速液体クロマトグラフ法」等の高度な分析装置を使用した検査により、検体中のあらゆる成分を「定量検査」します。
規定のcut offに達した場合「陽性」cut off値を下回る場合「陰性」と判定します。

☆ 弊社では米国SAMHSA 認定検査会社 Certified Laboratoryと契約しています(HHS-Certified Laboratories Drug Testing)。
何らかの事情で外国の検査会社を希望される場合はお気軽にご相談ください。

(2)検査の流れ

検査は、一次検査:Screening Testと二次(確認)検査:Confirmatory Testの二段階で構成されます。

就業規則・雇用契約・社内規定等に基づく処理

仮処置
  • 警察への通報は行わない
  • ● 飛行機・船舶・列車・大型車両等の操縦等、指定職種の就業停止
  • ● 新規採用予定者には保留通知
処分
  • 法律違反事案として警察に相談
    • ・大麻取締法
    • ・覚醒剤取締法
    • ・麻薬及び向精神薬取締法
    • ・あへん法
    • ・毒物及び劇物取締法
    • ・薬機法
    • ・麻薬特例法
  • ● 社内規定違反として人事処理
    危険・リスクを伴わない職種に即時異動・即解雇不可
  • ● 法律違反が確定したら人事処分
  • ● 本人の同意があればリハビリの援助
  • ★ 事務・営業・研究職等直ちに危険・リスクを伴わない職種の場合、接客や外出禁止PCや端末装置の使用停止等の処置(例)
  • ● 薬物乱用歴のある労働者の雇用

(3)業種・検査形態等による検査機材の種類(推奨)

職種 年間検査回数 検査の内訳 推奨されるスクリーニング検査キット
  • 1. 武器を所持または使用する職務(警察・自衛隊・海上保安庁含む)
  • 2. インフラ施設(原発/コンビナート/空港施設等)のオペレーションに従事する従業員
  • 3. 航空機・船舶・列車・大型重機の操縦及び管制
  • 4. 危険物・可燃物の輸送等
  • 5. 会社や官公署等の重要機密に触れたり、その端末を操作する職務
  • 6. オンライン決済端末の操作
  • 7. 営業車:トラック/バス/配送車/社有車
    *通勤用自家用車の運転
2ヶ月サイクル
年6回以上
健康診断時に実施:年1~2回
4~5回以上の不定期検査
(現場検査含む)
  • 8. 公務員(国家・地方公務員)
  • 9. 国家や企業の重要機密情報に接する職員(みなし公務員含む)
  • 10. プロスポーツ選手
  • 11. 公営ギャンブル関係者
2ヶ月サイクル
年6回以上
健康診断時に実施:年1~2回
4~5回以上の不定期検査
(現場検査含む)
  • 12. 学生等
  • 13. 一般事務職
  • 14. 店員
  • 15. 作業員(常雇)
年間1回
+
ランダム
健康診断時に実施:年1回
+
ランダム検査 年1回以上
寮・合宿所・独身寮居住者は
検診+ランダム検査
年間3~4回
  • ・定期検査
    MM-STAT (10種の検査)
  • ・男女分かれて検査する場合
    E-STAT
    乱用の多い薬物3種類に特化した(尿検体)簡易検査
  • ・男女同時検査(唾液検体)
    SALIVA-Ⅲ(3種類)または SALIVA-Ⅷ(8種類)
  • 16. テレビ・映画のエキストラ
  • 17. 日払い・週払いの短期アルバイト
  • 18. 飲食店・社交・風俗点・クラブ
  • 19. 住所不定・無職
採用前
1回
ランダム
月間1~4回
  • ・男女分かれて検査する場合
    E-STAT 乱用の多い薬物3種類に特化した(尿検体)簡易検査
  • ・男女同時検査(唾液検体)
    SALIVA-Ⅲ(3種類)または SALIVA-Ⅷ(8種類)
  • 20. 航空・船舶・鉄道・バス・トラック 等における現場検査
    (主に男子中心の職場)
ランダム検査 随時
  • STAT-CUP
    10種類の薬物を検出
    現場で検査が出来る。
    「陽性」の場合、カップの蓋を締めて外部の検査機関に送り「確認検査」を行う
  • 21. エアライン 観光バス等 男女同時検査
ランダム検査 随時
  • 22. タクシードライバー・警備員・交通誘導員・管理人 等の高齢労働者
採用前
1回
ランダム
月間1~4回
  • ・採用時・定期健診時:
    STAT-CASSETTE/MM-STAT
    10種類 ランダムは月1回程度
  • ・MFT Medication Effect Test 処方薬影響検査  (10種)
    10月発売予定
  • 23. 軍隊・警察官の採用時(米国例)、指定薬物取締法に違反し有罪(執行猶予期間中)の検査(米国例)、断薬治療・リハビリ中の検査、薬物使用歴のある者の採用前検査
随時 ランダム
他の検査と併用が望ましい
(直近の30日間の検出が困難)
  • STAT-HAIR TEST
    7~15種の検査が可能
    執行猶予中の検査すり抜け対策として開発された。
  • 24. SPECIMEN VALIDITY TEST
    尿検体の有効性試験(法執行機関 外部検査機関)等で使用
随時 尿検査時
  • V&V Test
    不正行為を予防するため、尿検体の妥当性を検査する